スタンダードデッキ考察「黒単ゾンビ」

 ごきげんよう。本巣だ。今回はカジュアルから少し離れ、スタンダードで優勝を飾った黒単のゾンビデッキを紹介したい。

 

 こちらだ。

 

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画像引用元: Gatherer - Magic: The Gathering

 

「黒単ゾンビ」- Gerry Thompson
プロツアー『アモンケット』 優勝

22 《沼》
2 《ウェストヴェイルの修道院》

-土地(24)-

4 《墓所破り》
4 《戦慄の放浪者》
4 《金属ミミック》
4 《無情な死者》
4 《戦墓の巨人》
4 《呪われた者の王》

-クリーチャー(24)-

2 《致命的な一押し》
3 《闇の掌握》
3 《リリアナの支配》
4 《闇の救済》

-呪文(12)-


3 《屑鉄場のたかり屋》
2 《豪華の王、ゴンティ》
2 《精神背信》
1 《闇の掌握》
2 《失われた遺産》
2 《霊気圏の収集艇》
3 《最後の望み、リリアナ》
-サイドボード(15)-

 

引用元: mtg-jp.com

 

 構造を見ると、なるほど、と、デザイナーの意思が明確に伝わってくる。

 

 細かく見ていこう。

 

 先ずはクリーチャーだ。

 

 

 優秀な軽量ゾンビ

 

 「墓所破り」や「戦慄の放浪者」などの優秀な軽量クリーチャーが投入されており、それらをバックアップする「金属ミミック」と「呪われた者の王」。そして、自身と他のクリーチャーをリサイクルできる「無情な死者」や、いつ引いても良い仕事をする「戦墓の巨人」で後半の息切れを防ぐ。

 

 基本構造はウィニーでありながら、後半でも力負けしないようになっている。

 

 

 スペルで攻撃継続

 

 そしてその他の呪文のチョイスも非常にわかりやすい。「致命的な一押し」と「闇の掌握」で相手のブロッカーを排除し、確実なクロックを刻み、そして、「リリアナの支配」で頭数を揃えつつ全体の強化を行う。

 

 「闇の救済」は除去でもあり、トークン生成呪文でもある。このスペルも腐りにくさが光る渋いカードだ。

 

 ちなみにマナベースである土地のチョイスは、隠し球であろう「ウェストヴェイルの修道院」以外は全て沼と、非常にシンプル。

 

 

 このデッキの強み

 

 ズバリ、その攻撃性能だ。ウィニー系デッキは序盤からアグレッシヴに動く事が基本だが、この黒単ゾンビはその攻撃性能の"質"が少し違う。

 

 

 強化手段の数

 

 白単ウィニーなどの場合、「十字軍」などに代表される全体強化は定番のクロック強化手段だ。他のデッキであれば大抵部族のロードが存在しており、それらを戦場に出す事でアタッカーを強化していく。

 

 しかしこの黒単ゾンビは、サイズを大きくする呪文が3種類、計11枚も投入されている。

 

 「金属ミミック」 

 

 1枚目は「金属ミミック」。このカードは戦場に出る際に種族を一つ指定し、後続の指定種族を+1/+1カウンターを乗せた状態で戦場に出す事ができる能力を持ったクリーチャーである。

 

 大抵のロードは3マナ以降だが、この「金属ミミック」は2マナである。序盤に出せる上、自身も指定したクリーチャータイプを持つため、他のゾンビ強化の恩恵を受ける事ができる。

 

 「呪われた者の王」

 

 2枚目は「呪われた者の王」。このカードは標準的なロードで、自分以外のゾンビに+1/+1修正を与える効果を持っている。また起動型能力で威迫を付与する効果もあり、最後の押し込みにも使える優秀クリーチャーだ。またサイズが2/3で、火力で焼かれにくいのも良い。

 

 私はこのカードをてっきりレアだと勘違いしていたが、ゾンビたちの中でこのカードだけアンコモンのようだ。

 

 

 「リリアナの支配」

 

 最後は「リリアナの支配」。このカードの利点は2つある。

 

 一つ目は、自身でクロックを作る事ができる点だ。通常の全体強化スペルは強化する対象がいなければ機能しない。しかしこのカードは2/2トークンを2体連れて出てくる。よって、強化の効果と合わせて6点分のクロックを確定で用意できるのである。これは既存の全体強化エンチャントには無かった利点だ。

 

 二つ目はエンチャントである点。MTGにはいくつかのパーマネントタイプが存在するが、エンチャントは破壊されにくい部類に入る。また、このカードが破壊されてもトークン生成の仕事は果たしているため、破壊のメリットが薄く感じられる点も良い。

 

 このように、多くの強化手段を持つことによってウィニーレベルを超えた強化が可能となっている。

 

 例として「戦慄の放浪者」、「金属ミミック」、「呪われた者の王」の順に展開した場合、盤面のクロックは既に9点である。後続のパワーが2であると仮定すると、生成されるただのゾンビトークンですら4/4サイズ。

 

 尋常ならざるパンチ力だ。

 

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画像引用元: Gatherer - Magic: The Gathering

 

 

 リセットからの復旧

 

 個人的にこのデッキ一番の利点として感じるのは、その粘り強さ。

 

 仮に、5ターン目まで順調に展開し、相手のライフを順調に削っているゲームで、コントロールの相手が「燻蒸」を撃ってきたとする。

 

 こちらのゾンビ4体は墓地へ送られ、大きな損失を被った。しかしその中に「無情の死者」が居れば黒1点で回収が可能であるし、「戦慄の放浪者」はハンドが少なければ墓地から戦場に戻す事ができる。

 

 この2体だけでも非常に優秀だ。

 

 さてそれでは、返しのターンの理想的な動きはどうだろうか。

 

 こちらの土地が4枚まで伸びているのなら、ここで真っ先にキャストしたいのは「戦墓の巨人」だ。このクリーチャーを唱え、無事に着地させる事ができれば、少なくとも3/3か4/4程度のサイズは期待できる。そして、次に唱えたいのは「墓所破り」。このカードは1/1で、カードを捨てる事でゾンビトークンを生成するスペルシェイパーのようなクリーチャーだが、種族がゾンビである点が大きなメリットだ。

 

 ここで注目するのは「戦墓の巨人」の能力。ゾンビ呪文を唱えた時、このカードは2/2のゾンビトークンを生成する効果を持っており、戦場に出た「墓所破り」と含めて、あっという間にゾンビが3体となった。

 

 リセットを撃たれた返しのターンでこれだけの戦力を用意する事ができるのである。素晴らしい復旧速度だ。

 

 そしてこの状態になれば、ゾンビをタップして「墓所破り」の効果を起動し、カードを1枚引き入れるエンジンが完成。後続を引き続ける事で、ウィニーでありながら安定した戦力供給が可能となる。


 非常に速く、そして中盤以降もミッドレンジと戦えるポテンシャルを秘めている。

 

 実績のないアーキタイプをここまで昇華させたGerry Thompsonに、心から称賛を送りたい。

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